お知らせ

  • 雑誌『美術の窓』に「読み書き障害」について寄稿文を掲載いただきました。

    2018.08.29

    9月5日から開催される東京・日本橋三越本店の個展まで、あと1週間となりました。
     
    さて、本日は、アート雑誌『美術の窓』に掲載いただきました「アートと発達障害 ー読み書き障害ー」について、みなさまにお知らせいたします。ここではその内容を少しご紹介します。
     
    西嶋には息子がいまして、「読み書き障害」「多動症」があります。昨年、西嶋は息子が苦手なことと自分の苦手なことがとても似ていることに気づき、それが読み書き障害ということを知りました。それまで自分が読み書きが苦手なことに大きなコンプレックスを感じ、家族にさえ隠してきたようなことだったので、このような障害があるということを知ったことは、とても衝撃的な話でした。
     
    また、そのことを知ったとき、西嶋は長年秘めてきた苦しみが雪解けしていく、心がほどけていくのを強く感じたようです。そして、このときの何とも言えない想いを、表現者として時間をかけて昇華させて創作に励んだのです。今回の個展のテーマである「解放」は、この経験を通じて出てきた言葉でもあります。
     
    この記事では、「読み書き障害が実際にどのような障害なのか?」という話をはじめ、西嶋が今後、親として、表現者として、「発達障害を持つ子どもたちの未来を明るいものにできるよう活動していきたい」という話も書かせていただきました。ぜひ美術の窓を手にとっていただければと思いますが、下の画像をクリックいただきますとPDFで寄稿文をご覧いただけます。
     

     
    今後、当ブログでは、西嶋のこうした社会活動についてもお知らせしていきたいと思います。
     
    西嶋豊彦事務所
    竹田陽平

  • 9/5〜10開催 日本橋三越本店 個展「解放 ー日本画への挑戦ー」

    2018.08.01

    9月5日(水)から10日(月)まで、東京・日本橋三越本店にて個展を開催いたします。

     

    今回の展覧会のテーマは「解放」です。解放には脱皮の意味もあり、人は生きているあいだに何度も生まれ変わる、歳を重ねても挑戦することで新しくなっていく、という信念をもとに、これまで20数年のあいだ取り組んできた日本画を軸足にさまざまなアプローチで創作した作品を展示します。

     

    具体的にいえば、西嶋の代名詞ともなっている四季折々の花々を色鮮やかに表現した日本画作品、幅6メートルの大作「鳳凰」や「伊勢海老」、日本画が平面から飛び出す半立体作品「白龍」、透かし和紙の厚みの差(凹凸)だけで日本画的表現にアプローチした絵和紙作品、透かし和紙とロボット技術との融合作品「白孔雀」など、これまでの個展でもっとも幅の広い作品群を展示します。日本画表現の豊かさ、多面性を感じていただければ幸いです。
    ※Webカタログはこちらからご覧いただけます。
    ※絵和紙については、過去のお知らせで詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。

     

    個展開催中は終日在廊しています。みなさまとお会いできることを楽しみにお待ちしております。

     

    展示期間:2018年9月5日(水)〜10日(月)10:00〜19:30 (最終日は17:00閉場)

     

    日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊
    〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1 [地図]
    Tel:03-3241-3311(代表)
    Web:日本橋三越本店HP [アクセス]

  • 日本橋三越本店「第10回 Nihonga・京」(7/25-30開催)に出品します

    2018.07.22

    このたび、日本橋三越本店で開催される、日本美術のグループ展「第10回 Nihonga・京」に出品します。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。

     

    展示期間:7月25日(水)~30日(月) 10:00〜19:00 (最終日10:00〜17:00)

     

    日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊
    〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1 [地図]
    Tel:03-3241-3311(代表)
    Web:日本橋三越本店HP [第10回 Nihonga・京]

  • 自画像を描いた初期作品を振り返る

    2018.07.21

    西嶋豊彦が日本画の世界で注目を集めた初期作品(1992~1996年発表)はすべて自画像です。
     
    人は誰でも思春期や社会に出たときに、多かれ少なかれ悩み、自己を見つめる時期がありますが、西嶋には「自分はなぜ生まれてきたのか?」にはじまる自問自答を繰り返す期間が長くありました。
     
    そのなかで描いた作品が自画像です。6年に渡り描き続けた自画像作品の一部は、当HPの作品ページや、あゆみページでも紹介していますので、ぜひご覧いただければと思いますが、描かれる絵はすべて、「死」の空気が漂っています。
     
    いま、西嶋は20年以上経った当時を振り返り、「自分自身に対しても、他者に対しても、破滅的思考が非常に強かった」と感慨深く話しますが、当時は極限にまで痩せ、いつ人生を終えてもいいというような心理状況のなかで、ただただ、日本画のなかに自己表現を追求したのが自画像作品でした。
     
    その後、ある冬の朝の出来事をきっかけに、西嶋は「生」へと目を向けるようになり、描く世界も変わっていくのですが、初期作品で追求した微に入り細に穿つ筆致は現在にいたるまで変わりません。
     
    西嶋はよく、ひとつの対象物を描くとき、何十枚、何百枚とスケッチをしているうちに、その対象と対話できるようになり、やがて一体感が生まれたときに作品が誕生すると言いますが、これは、初期の自画像作品を描くなかで確立したスタイルです。このHPを制作するにあたり、自画像作品と久々に対面し、「自画像を描いていたときは、本当に何度も何度も自問自答繰り返したので、物事を表面的に見るのではなく、対話ができるようになった。大切だと思うようになったのだと思う」との一言は、とても印象的でした。
     
    西嶋豊彦事務所
    竹田陽平

  • 日本画に邁進した理由

    2018.07.10

    西嶋は高校卒業後、一度会社員をしてから美術大学へ入学し、本格的に絵画をはじめています。それは、絵を学びたい、描きたいという自分でも抑えきれない強い気持ちがあったからなのですが、入学前は日本画というものをよく知らなかったといいます。ただ、そんな思いを抱えていたときに、当時、勤めていた会社の上司に相談したところ、「日本人だから、日本画をしてみたら?」といわれたことがきっかけで日本画を学びはじめ、次第に、その奥深さに熱中するようになり、気づけば今日に至るまで20数年、その道に邁進しています。
     
    なぜ西嶋が日本画がを描き続けたのかといえば、まず日本画に使用する岩絵具の美しさに魅せられたこと、そして余白の美を愉しむといった自身の美的感覚にしっくりきたことなど、いろんな理由がありますが、日本画の画材が主に自然素材からつくられていることが、今となっては一番大きな理由だったのかもしれない…といいます。
     
    これは、西嶋が琵琶湖にほど近い湖北町(長浜市)という自然豊かな環境で育ち、自然に近しい気持ちがあるということや、彼の作品の根幹にある、生や死、光、闇、ぬくもりといったテーマを表現するときに、自然素材を使う日本画の表現がもっとも自身の表現にしっくりきたということでもあり、それがゆえに、日本画、日本美術の豊かさを学び、日本画に邁進することとなったのです。
     
    それから20余年、西嶋は日本画家として活動しながら、近年は海外で作品を発表する機会に恵まれ現代アート作品も創作していますが、現代アート制作においても日本で伝統的に使われてきた自然素材を使いたいという想いは変わっていません。
     
    前回ご紹介した、和紙の濃淡(厚みの凹凸)で絵を描く、「絵和紙」はまさにこの想いと合わさるものですし、西嶋の創作活動において自然素材を用いること、活かすことは主題となっているのです。
    ※絵和紙、現代アート作品は、こちらからご覧いただけます
     
    西嶋豊彦事務所
    竹田陽平